長村(以下O)「18才で出会った時は、『映画のプロデューサーになるんだ!』って言ってたよね。」

栗山(以下K)「そうそう、それで東京に出てきた。」

O「ちょっとさかのぼるけど、健一が佐賀から出て来た時に知り合ってからもう7年!専門卒業して初めての仕事は?」

K「埼玉県でしか流れない情報番組のディレクターだったかな。」

O「あれか!」

K「そうだね。社会人として初めての仕事があれだったね。」

O「ちょっと手伝ってよとか言って取材先に俺が電話して撮影の日取りまでやらされたことあったよなあ(笑)」

K「その節はすみませんでした(笑)」

O「蕎麦おごってくれたよね(笑)」

Videographer 
栗山健一(Kenichi Kuriyama)

映画プロデューサーになりたい

O「最近はMV(ミュージックビデオ)の演出、撮影から編集までって仕事が主だよね。年始に少し減らしていこうかなって言ってたのは、どんな感じなの?」

K「映画プロデューサーになりたいっていうのは全く変わってなくて。というか、やっぱりそれが目標でしかないから。基本的に何か選ぶときにはそれをゴールとしてチョイスしてる。」

O「松室政哉くんの『きっと愛は不公平』では撮影。KAIKIの『YOLO』では演出。一緒に仕事をしたことがあるよね。」

K「そう、でも別に自分がMVをすごいって数を撮ったわけでもないんだけど。正解ってないじゃん。何かを『知る』って時には。その人が持ってる『知る』ってことの満足値というか。『形を知る』『中身を知る』『歴史を知る』掘れば掘るだけ何かが見えてくるよね。」

O「うん。」

K「MVを何百本何千本やって『やっと知れた!』っていうめちゃくちゃカッコいい人もいる。逆に10本やって『うん、まあ分かった!』って満足する人もいる。一緒っていうのはすごく失礼だけど、知ったってことには変わりないかなって。」

O「ひとまず健一の中で満足できるくらいには知れたってことなのかな?」

K「例えば『アイドルのかっこいいのお願いします!』って言われたら経験していないからできないかも知れない。でも『こうやったら多分できるかな?』っていうとこまでは知れた気がしたのね。」

O「レシピ的な?」

K「もちろん一人の力では難しいかも知れないけど。でも『こうやれば俺でもできるんじゃねーかな』ってところまでは知れた気がしたんだよね。
だからちょっと次のステップに行ってみようかなって感覚があって。
今年はもっと違うジャンルを増やしてみようと思ったんだよね。」

O「違うジャンルってなに?」

K「例えばだけど、ガッツリ広告。
俺ポカリスウェットのCMがめちゃくちゃ好きなんだけど。」

O「写真集買ってたもんね(笑)」

K「奥山由之さんのね!たった3つ上くらいの!(笑)」

O「そんなに若いんだ!」

K「俺、あれがめっちゃ好きで。でもいざあれ作って下さいって言われても、俺はまだあの世界は知らないなって思ったの。それはなんか知りたいし知っていたいなって思った。それで広告に携われる努力じゃなけど、関わってみたい。」

O「うん。」

K「それができるような準備の1年にしてもいいなと思ってて。
例えばネームバリューも大事だったりすると思うんだよね。
その為に『何か賞を取る』『賞を取るためにコンペに出しまくる!』自主的な活動でもいいし。
そういうシフトチェンジをしてみてもいいかなっていう2019年の始まりだったね。」 

かっこつけて自分を動かしていく

O「俺はいつも『なんかよくわかんないけど』『なんかいい感じだから』『なんとなくやってみたいから』っていうので進んでいくけど、健一はそれが常に明確に出来ていていいなあって思ってる。」

K「あざす(笑)」

O「人に対しても相談に答えたりする時ってさ、半分は自分だったらっていう立場で答えるよね。それでその友達が『ああ!』ってひらめいて進んだ時にもし失敗しちゃったら『そんな風に言ってしまった自分はどんな顔して次会えばいいのかな(笑)』とかって思っちゃって俺は濁しちゃったりするんだよね。」

K「知ってるとは思うけど俺すごく腰が重いタイプでさ。
でもポッと仲良くなった人とかに『栗山君は行動力があるねー!』なんて言われたりするけど。全然そんなことなくて。腰重いしめんどくさがりだし。」

O「遅刻もするし寝坊するし」

K「雑だし(笑)っていう人間だから。
でも言った言葉には責任を持ちたいっていうのはあって。
例えば友達と話しててカッコいいことを言ったりするのも、やっぱりそれ言ってるやつが伴ってなかったらどうしようもないじゃん。
届かないし響かないし。」

O「いつもかっこいいこと言ってるって自覚があったんだ(笑)」

K「いやいやいや(笑)」

O「脇に汗かいた!(笑)」

K「まあでもあるじゃん!(笑)世間一般でいうところのカッコいい言葉みたいなのが(笑)そういうカテゴリーがあんじゃん。
話しながら自分のことを整理してたりするし。」

O「それはあるかも。」

K「だから俺が突拍子もないこと言ってみたり『絶対こうした方がいいよ』って言ったりするのは、その責任を取るため。って言い過ぎかもだけど。
こないだああやって話しちゃったから行動とかに移しとかないと。
『え?お前は何も変わってないじゃん』って、ちょっとださいじゃん。」

O「それはそうだね。」

K「あくまでもカッコつけたいのよ。カッコよくありたいのよ。人としては。もう顔面がこうだからさ。」

O「(爆笑)」

K「人としてはすごくカッコよくありたいのよ!!!(笑)」 

初めて目撃した『プロデューサー』

K「あとはやっぱりジブリの鈴木敏夫さんなんだよね。」

O「憧れて東京に来たんだって言ってたよね。」

K「そうそう。上京したのも鈴木さんの影響。というか憧れてって気持ちが9割と言っても過言ではないかな。」

O「どういうタイミングで鈴木さんを知ったの?」

K「俺が小学生の頃親父が『千と千尋の神隠し』が大好きすぎて映画館に4,5回観に行ったんだよね。そういう感じでうちは家族みんなジブリが好きだったの。小学生の頃はセリフを全部言えちゃうとか(笑)」

O「かわいい!」

K「その頃は表面上って言ったらあれなんだけど、作品だけが好きだったの。『もののけ姫』『ラピュタ』が好き!みたいな。
でも中学上がった頃に好きの裏側を気にするようになって。『これ誰が作ってんだろう?』って。
その頃ジブリ映画を作る工程みたいなドキュメンタリー番組がたまたま放送してたんだよ。」

O「うん。」

K「で、これが結構見入っちゃって。こうやって絵コンテ何枚も何枚も描いて出来上がっていくんだ!って。もっと観てると、この人が背景担当!って。『え!この人背景のプロ!?』みたいな。」

O「すごい。」

K「そこの中の人達はみんなキラキラしてたんだよ。それで俺負けず嫌いだから。なんか『尊敬=負け』になっちゃうんだよ。いい意味でね。
『この人達全員凄い!』ってなった時に『勝ちたい!』ってなったのよ。」

O「おお。」

K「で、この中で誰が一番凄いんだろう。『やっぱ宮崎駿さんだな!』って思って観てたのね。でもずーっと観てたらさ、そのすごい人が相談したり、なんか頼ってるような人がいて。それが鈴木敏夫さんだったのね。」

O「そこでの登場はすごいね!だ、誰だ!?って」

K「まさにそうなんだよ。『なんなんだこの人は!?』って。
そしたらどうやらプロデューサーだったと。
『プロデューサーってなんだ!?』
言葉の響きは知ってるけど、何やってるのかはわからない。」

O「監督ってなんとなく分かるけど、俺もこの世界入る前は気にしたことなかった。」

K「それで俺はこの人に勝てれば人生勝ち確定になるぜ!って思って(笑)」

O「その頃は何をもって勝ちだと思ってたの?」

K「なんもないよ(笑)」

O「じゃあとにかくよく分からんけど勝つ!と。」

K「そうそう。てかそれは未だにわからないよ。でもきっと、認められたいんだよね。」

O「認めらるかぁ。」

K「あとは久石譲さんって人が音楽作ってるんだってことを知って『生で聴いてみたいです!』って親に死ぬ気で土下座して日帰りで東京の武道館まで行って。お父さんに地図書いてもらってさ(笑)」

O「もう、なんて大変な息子。」

K「コンサート観て夜中の便で帰って。地元で次の日に中学で『俺一人で東京行ってこんなコンサート行ったんだよ!』って言っても誰にも響かないのよ(笑)誰それみたいな。」

O「泣ける(笑)」

K「そうそう。でもなんかそうやって行動に起こしたことで、なんとなく固まっていくのよ。自分の気持ちとかキャラみたいな。『俺はこれが好きなやつ』って。」

O「なるほどね!」

K「だから今『俺はこれが好きなんだ』って言える自分がいる気がしてる。」 

声に出してみる

K「なんかうちの家族仲良くてさ。小さい頃よく家族みんなでチャリ乗って公園とか行ってたの。」

O「いいねえ!」

K「で、夕日が落ちるまで遊んで『飯食うか』って帰るみたいな。
親父は結構アウトドア派で自然とか大好きでキャンプ行ったりそういう遊びを色々教えてくれたんだけど。
っていう時に、何歳だったか覚えてないんだけどシチュエーションはすごい覚えてることがあって。」

O「なに?」

K「ひょうたん島公園ってのがあって。池があったりだとか、遊具あって結構大きい公園なんだけど。
そこで夕日を見てた時に親父が『わあ美しい』って言ったのね。」

O「おお。」

K「思い返せばそういうことよく言う人なんだけどなんかその時よくわかんないけど真似してみたのよ。」

O「うん。」

K「『綺麗だねえ!』って。
夕日を見て意識して『わあ、綺麗だ!』ってあんま言ったことがなかったのよ。だって子供の時に『みんな!今日の夕日めっちゃ綺麗だね!』ってあんま言った記憶ないもん。
そんなことより『どんだけ遊べるか!』ってことでさ。」

O「たしかに、暗くなっちまうぞ!ってくらいの存在だった。」

K「そうそう。んで初めてその夕日を見て『綺麗だね』って真似でも言ってみたのね。そしたらその日から『綺麗だね』って言うようになったのよ。
で言うようになると、その日から綺麗に見えてくるんだよね。」

O「心も綺麗(笑)」

K「それまではどうでも良かったんだもん。でも、ふーんで済んでたものが『見たいし』『綺麗だし』『綺麗だな!』って言いたい!その言葉を発したってことで、自分が変わったっていう実感はあって。『夕日のことこんだけ好きになったぜ!』みたいな。それは確かにあるなって思った。
発してることによって具体的になることもあったりするなあっていう。」

O「そうだね。きっと色んなことがそうだもんね。
ちょっと違うかも知れないけど、誰かが言ったことって現実感が増す。
『私太ったかな?』ってより人に『太ったね』って言われた方が刺さるし、落ち込む。」

K「なんだそれ(笑)」

O「こないだ実家で過ごしてた時に母親に『もういい大人なんだから』って言われてさ。あ、俺大人になっちまってたんだって。」

K「あるある。」

O「俺ずっと高校生気分だったからさ、酔っ払って帰ってる場合じゃねえなって(笑)」

K「それでそういう時に自分が思ってた大人の像ってのが出てくるよね。
いい大人って。どんなんだって。」

O「そうそう。だからもう道では寝ちゃダメだよ。」 

※photo by Kenichi Kuriyama

栗山健一 1993/6/3(25)佐賀県出身

【instagram】
https://www.instagram.com/kuriyama_kenichi/

リオ2016オリンピックフラッグハンドオーバーセレモニーメイキング/演出
赤とんぼ / 山下歩カバー/撮影 演出
松室政哉/きっと愛は不公平/撮影
KAIKI/YOLO/演出