長村(以下O)O「一人暮らし始めるんだって?」

増永(以下M)M「いやねぇ、したいなとは思っているんだけど。」

O「てか、今日どういう話しようかとか考えて来たでしょ!」

M「え、いやぁ考えてないよ!(笑)」

O「だって今日会ってソッコー『俺らしさってなんだろう?』って(笑)」

M「言うなし!」

真心本部長
増永慎一朗(Shinichiro Masunaga)

高校から大学生時代

M「いやだって今までのインタビュー記事読んだんだけどさぁ、みんなすごいじゃん。」

O「頑張ってるよね。」

M「俺ってマジでなんなんだろうって(笑)26歳にもなってさぁ。」

O「中学の頃はムードメーカーだったのに今日はしんみりモードですか?(笑)」

M「だって俺マジで全然ちゃんとしてねぇもん。」

O「バイクだって自分で買ってたじゃん!」

M「あれはね。」

O「家まで迎えに来てくれた時は音ですぐ分かったよ。あれはすごい音だった(笑)」

M「いやでもその、皆みたいにやりたいことはやれてないよ。」

O「中学の時は野球選手目指してた?」

M「夢は体育教師になる!だったかな。野球部だったけどね。選手はムリムリ。」

O「体育教師かぁ。知らなかった。」

M「俺中3の時くらいに親父の転勤が決まって、東京の高校を受験しなきゃならなくなったじゃん?」

O「そうだったね。」

M「調べてたら日体大に行けば教員免許取れるってことが分かって。逆算して日体大に進学率のいい日体大荏原高校に決めた。」

O「めちゃめちゃ考えてたんだね、当時全くそうは見えなかったけど!(笑)」

M「逆算したくせに高校生やってる間にやりたいこと変わっちゃって(笑)
消防士もいいかなぁって。高校卒業して無事に大学には行けたんだけど、体育教師は諦めたし通ってる意味みたいなのことがだんだん分からなくなっていったんだよね。」

O「もっともらしい言い方してるけど、学校行きたくなくなっただけでしょ?(笑)」

M「それもある!大学入ったら遊びに行くこととか増えるじゃん(笑)車でどっか行って泊まったり、毎晩飲みに行ったり。」

O「その時期の色んな人の話聞いてると、最高の青春だよね。」

オリジナルグローブ!(笑)

俺はシンデレラ

O「でも大学はある程度通ってたよね?」

M「5年行って辞めた。親は『将来の給与面でも違うからとにかく行きなさい。』って。」

O「そりゃそう言うよね。」

M「学校に籍は置いたままにして。遊ぶ金稼ぐ為にめちゃめちゃ働いた。学校に費やしてる時間も暇もない!って感じで(笑)」

O「母ちゃんは怒らなかった?」

M「色々あったけど、もうその時の俺は親の敷いたレールを走るのが嫌だった。」

O「そんな厳しい感じだったっけ?」

M「うち門限あったからね。男で門限ありってなんだよ!(笑)」

O「子は宝だもん!(笑)」

M「『日付が変わる前に帰って来なさい』って。シンデレラかよ!」

O「(爆笑)」

M「それは当時ホントに納得いかなかった。」

O「でも守ってたんだ。」

M「まぁ一応ね。」

O「かわいい!(笑)」

M「かわいかねぇよ!」

社会に出る実感が湧かなかった

M「消防士になろうって思ってた時に消防団にいたのね。アピールポイントになると思って。」

O「消防士の試験とか受けるときに?」

M「そうそう。『地域の安全の為に消防団で活動してました!』的な。」

O「活動は具体的にどんなことするの?」

M「例えば消防操法大会っていうのがあるんだけど。皆でポンプ運んでホース引っ張って来て火を消す!みたいな。実際に火を消すんじゃなくて的に当てるんだけど。そういう練習とか。」

O「そういえば消火器の使い方を消防団の人に習ったかも。地域の。」

M「そういうのもあるある。あと楽しかったのは消防団の先輩が人生相談乗ってくれたりして。体育教師になる夢もなくなった後でね。かと言って消防士になるっていうのも、なんか今じゃないなっていうか。実感が湧かなくてフワフワしてた。」

O「うん。」

M「でも生きていくのにお金は必要だし、周りは大学卒業して就職していってさ。フラフラしてないで何かしなきゃ!って気持ちはあった。そんな時にその先輩が働いてる工務店に誘ってくれたのね。」

O「おぉ。」

M「まぁモノ作るの好きだったらからいいかなぁと思って。『後々社員になれたらって感じだけど、とりあえず見習いでどうー?』ってことで、まず見習いから始めたのね。」

O「どんなことに携わっていたの?」

M「公園とか運動場の設備の古くなった部分を補強したりとか。新設するというよりは古くなったものを補強するって感じ。すぐ近くにある公園の階段もやったよ。見に行く?」

O「いいね!」

職人の世界

M「そこの会社の社長が、その先輩のおじさんなんだけど。」

O「家族経営?」

M「そんな感じ。社長も年齢のことがあるから現場離れたいってことで、俺と入れ替わりみたいな感じで。社長やめたら先輩1人になっちゃうじゃん?」

O「うん。」

M「俺も社員目指しながらでお金も稼げてメリットあるし、先輩も先輩で自分がアタマでやれるようになるから本人にとってもプラスだったりして良かったんだよ。」

O「お互いにね。」

M「そう。でも先輩が結構時間にルーズな人で、1時間待っても来なかったりとか(笑)」

O「ひどいな(笑)」

M「しょっちゅう、しょっちゅう。仕方ないから迎えに行ったりとかして。でもさぁ言えないじゃん?いい先輩だったんだけど。」

O「うん。」

M「道具の管理とかも。あれがない、これがない。それも全部下の俺のせいになるの。」

O「そうなの。」

M「でも現場で他のところで働いてる同い年のやつと話してたら『うちもそうですよ。』って。なんか職人の世界では当たり前なんだって。」

O「そっか、そういう出会いもあるんだね。」

M「現場によるんだけど、自分らのできないところは他の職人さんにお願いしたりとか。逆に得意な部分では他のところに手伝いに行ったりね。」

あれ、俺就職してねぇじゃん

M「ある日突然社長から電話かかってきてさ『小耳に挟んだけど社員になりたいんだってね?でもうちでは社員にする気ないよ。』って。」

O「えぇ!?急に?」

M「誘ってくれて一緒に現場回ってた先輩は『社員にするする!』って言ってくれてたのに、社長からは『無理だよ。給料払いきれないし。』って。」

O「払いきれないって、これまでの給料は大丈夫だったの?」

M「材料費とかに色々上乗せしてそこからバイトの給料を支払っていたらしいんだよね。こういう仕事で多いってのは聞いてたんだけど。だから俺の設定としては【雇われていない、この世に存在しないアルバイト】だったの。給与明細も出ないしね。」

O「材料費に上乗せって、人が材料みたいだな(笑)」

M「マジで材料以下だよ(笑)でもずっとバイトじゃ先もないし。俺も何やったらいいかよくわかんなくなってたんだけど、どんな形でもいいからとにかく社会人として正社員にまずはなりたかった訳よ。」

O「周りが卒業して、当たり前に就職して行ったことも焦った?」

M「そう。先輩は時間にルーズだけど人は良いし色々世話になったし。理不尽なこともあったけど、頑張ってやってた。でも社長からの電話があってから『それはちょっと筋違うだろ!』って。俺はそういうことが一番我慢できないから。話をして謝ってやめた。」

O「昔からハッキリ言う方だったもんね(笑)」

M「そういうの嫌なんだよ。人と人なのに。」

O「その感じすごく好きだし羨ましいけど、今の時代は色々難しそう。」

M「まぁね。んで、そんな時にパチンコ屋で働いてた時の先輩から電気工に誘われたの。金も困るだろうからって。なんかまたダークな世界(笑)」

O「文字だけ見ると怪しい(笑)」

M「でしょ?深夜帯の仕事でキツかったけど、普通の仕事だよ。そこもまた給与明細ないパターンだったけど(笑)また見習い3ヶ月から始めて。」

O「社員なる為の研修期間?」

M「そうそう。」

O「もう一回勉強して、消防士とかは考えなかった?」

M「考えてたよ。でも時間が過ぎていくうちにだんだん無理だなって思った。
『まぁ時が来たら試験受けるか!』と思ってはいたけど『もう26だし無理だ』に変わっていったね。」

O「うん。」

M「大学とか就職するタイミングで変に突っ張ってそのまま行った人ってね、こんな感じだよ。そこから何年かして『あ、就職してねぇじゃん。』って気付いた時にはもう終わりなのよ。」

この世に存在しない自分

M「それでたまに大学のやつと飲んだりするじゃん?『今なにやってんのー?』って。」

O「逆に皆はなにやってるの?」

M「教師になったやつがやっぱり多いなぁ。」

O「そうか、そうだよね。」

M「皆は『楽しいけど給料面はキツイねぇ。』って話したりしてて。俺のバイトの話すると『すげえ!そんな貰ってんの!?』って言うんだけどさぁ。」

O「よく聞く初任給と比べたら。」

M「お金の面だけ見たらそうかもしれないけどさ。俺は正社員じゃないし、給与明細も出ないようなところで真夜中働いて。ハッキリ言ってフリーター以下だよ。国から見たらニートだよね。そんなこと考えてたらね、なんかホント悲しかったよ。この世に存在していない人間みたいな(笑)」

O「ツラたん。」

M「こっちの台詞だよ!(笑)しばらくオッサに連絡してなかったじゃん。その間はホントこんな感じだった。」

O「泣いて電話でもしてくれりゃ公園でビール、付き合ったのに。」

まごころ本部長

O「それで今度は築地で働き始めたんだっけ?」

M「そこは手伝ってーって誘われたから、次までの繋ぎみたいな感じで働いてるよ。」

O「次までの繋ぎ?」

M「気になるっしょ?(笑)」

O「なにその顔(笑)じゃあ仕方ないから一応聞いとこうかなぁ?」

M「自衛官。」

O「受けるの?」

M「今月末に試験します!まず学力テスト。その後が体力テスト。」

O「ずっと野球やってたし、体力テストは問題ないね!(笑)問題は…」

M「今勉強してるから!いい加減変わらないとね。」

O「応募できる年齢引き伸ばしたり、駅にポスター貼ってあったり。人が足りていないんだなってのはすごく感じていた。」

M「だから俺が行くんだよ(笑)」

O「さすが、正義の男!まごころ本部長!」

M「入るのも難しいだろうけど。でもやってみないと分かんないけどね。入ってからも昇進試験あるし、入ってからの方が悩み多いかなぁ。」

O「それは入ってから考えよう!(笑)災害があった時に救助に行くとか海外に応援に行くとかはとても頼もしいけど。戦う人、戦う集団にならないでほしいな。」

M「そうだね。」

帰り道

O「さっきの話じゃないけど『約束と違うじゃん』とか『一回話しませんか?』とか。そういうのは面倒だから話す前に逃げ出しちゃうことって俺たちの世代は多いと思うんだけど、しっかり言えることはやっぱりすごく羨ましいな。」

M「よくないよ。煙たがられるし。」

O「あと増永は絶対嘘つかないし(笑)」

M「アハハ。でも何事もシンプルがいい。分かりやすいし気持ちが良いじゃん。」

O「世界中みんながそうだといいけどね。」

M「俺は何かしてもらったら『ありがとう』って言いたいし。不満があれば言って欲しいし。それでいいのに。面倒だからって向こうから距離置かれると悲しい。『いや言えよ!』って。」

O「そういや中3の時にさ、新聞載ったよね。増永が空き地で起きたボヤ消したやつ(笑)」

M「よく覚えてんね!(笑)」

O「学校で表彰されてたよね。」

M「体張って人の役に立つって、なんか俺は好きなのかも。」

O「それヒーローっぽくてカッコいいけど、中学の時から全然モテてなくない?」

M「うるせーよ!(笑)てか俺ヤバイな。マジでちゃんとしてないなぁ。」

僕が悩んで落ち込んでいた18歳の頃
増永君がここでキャッチボールに付き合ってくれた。

増永慎一朗 1993/8/16 愛知県出身